2023 11月9日経済NEWS

投資

ウィーワークのリース解約、商業用不動産ローン債権3800億円に影響か

by Bloomberg

  • CMBSのエクスポージャーは90億ドルに上る可能性-バークレイズ
  • ムーディーズはNYとサンフランシスコがダメージ受ける可能性指摘

シェアオフィス事業が行き詰まり、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した米ウィーワークは、少なくとも69の物件のリース契約を打ち切る予定だ。同社撤退の影響を受ける商業用不動産ローン担保証券(CMBS)は推計で総額25億ドル(約3780億円)相当と一段と増える。さらに多くのモーゲージ債がリスクにさらされる恐れもある。

  かつて470億ドルと企業価値を評価されたウィーワークは、事業継続努力の一環としてコスト削減と財務強化が必要だ。破産申請によって、同社はリース契約の破棄が可能になる。米オフィス市場が空室率上昇で既に動揺し、債務返済に苦しむ状況で、不動産所有者はさらなる空きスペースに直面する。

バークレイズは、破棄されたリース契約やウィーワークのウェブサイトに掲載されなくなったオフィススペースに基づき、最近撤退したか、近くを手を引く物件にエクスポージャーを持つローン債権を総額25億ドルと推計している。

  バークレイズのアナリスト、リー・オバービー氏らは8日のリポートで、「(ウィーワーク関連の)CMBSのエクスポージャーは90億ドルに上りそうだ。初期のリース契約破棄はCMBSの裏付けとなっている大部分の物件に影響しなかったが、追加の契約打ち切りもあり得る」と指摘した。

ウィーワークの広報担当者は、世界中の家主との交渉が「著しく進展した」と説明した。

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスの仕組み金融チームのシニアバイスプレジデント、マシュー・ハルパーン氏によれば、ムーディーズが格付けしたCMBSディールの1%に相当する約41件(総額約35億ドル相当)の裏付けとなる物件で、ウィーワークは上位5位のテナントに入っている。

  ウィーワークの存在が特に大きいサンフランシスコとニューヨークのオフィス市場は、同社がスペースの多くの部分を明け渡した場合、ダメージを受ける恐れがあるという。

  バークレイズによると、ウィーワークのリース解約リストには、同社がオフィススペースの20%余りを賃借しているマンハッタンの三つの物件(599 Broadway、One Union Square、385 Fifth Ave.)が含まれる。

「ウィーワークの行動は影響が波及する公算が大きい。影響を受ける物件のキャッシュフローを悪化させるだけでなく、追加のオフィススペースが市場に出ることになり、地域の賃料を圧迫する可能性が高い。これらの物件の所有者にも悪影響を及ぼすだろう」とバークレイズは分析した。

ウィーワーク創業者、経営破綻後も億万長者-純資産なお17億ドル

by Bloomberg

シェアオフィス事業を展開する米ウィーワークはもうける方法を見つけられなかったが、共同創業者のアダム・ニューマン氏がそれを知っているのは確かだ。

ウィーワークは今週に入り米連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を申請。物議を醸すことが多かったニューマン氏が経営を退き、ようやく上場を果たしてからわずか2年で破綻した。負債額は約190億ドル(約2兆8700億円)で、資産は150億ドル。ソフトバンクグループやビジョン・ファンドを含む長期投資家は既に被っている多額の損失がさらに膨らむことになる。

  ニューマン氏(44)は発表文で、「ウィーワークが今やかつてないほど重要となったプロダクトを生かせずにいるのを傍観するのは、私にとってつらいことだった」とコメントした。

しかし、ニューマン氏は2019年に最初のIPOの試みが頓挫し、最高経営責任者(CEO)を解任されたことに感謝する気持ちもあるかもしれない。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、同氏はCEO職を辞した後も潤沢な流動性資産を保有し、純資産はなお17億ドルに上る。

ウィーワークの経営破綻がニューマン氏の資産に打撃を与えたのは間違いない。ビリオネア指数によると、同社が21年に特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて上場した際、ニューマン氏の資産は23億ドルで、その3分の1近くをウィーワーク株が占めていた。その後、株価は99%余り下げている。

孫正義氏が失ったのは1兆7000億円と信頼性、ウィーワーク投資の結末

by Bloomberg

ソフトバンクグループによる米ウィーワークへの投資は、ウィーワークの破産申請という結果に終わった。グループ創業者の孫正義氏にとってウィーワークと関わった数年間は、同氏の投資スタイルに衝撃的な欠陥があることを明るみに出し、被った損失以上のダメージを同氏の評判に与えるものとなった。

  孫氏は部下の反対を押し切り、ソフトバンクGとビジョン・ファンドの両方からウィーワークの創業者アダム・ニューマン氏に巨額を投資。ウィーワークの評価額を2019年前半の時点で470億ドル(約7兆800億円)と、天文学的な数字にまで押し上げた。そのわずか数カ月後、ウィーワークの新規株式公開(IPO)申請書類で大幅な損失と利益相反が明らかになり、投資家たちは困惑した。

その後のウィーワーク急転落でソフトバンクGは推計115億ドルの投資損失を出したほか、22億ドル相当のウィーワーク社債も保有している。ウィーワークの零落は、ビジョン・ファンドが昨年出した320億ドルという記録的な損失とともに、敏腕投資家としての孫氏の立場を傷付けた。孫氏はかつて中国の電子商取引大手アリババグループにいち早く資金を投じて勝利を収めたことで、ベンチャーキャピタル(VC)界で伝説的な存在となった。

  ニューヨーク大学スターン経営大学院のアスワス・ダモダラン教授は「失敗から立ち直ることはあり得ても、自分の行動が分かっていない人物だという認識はどう返上できようか」と話す。「孫氏の行動は『自分は傲慢(ごうまん)だ』と言っているようなものだ」と語った。

この記事の考察

私も被害者の一人です。9984とWeWorkに投資していました。

孫正義氏も神ではなかったです。当たり前のことですが。

まあ、全部が成功するわけではないのが投資です。

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