2024 1月26日 経済NEWS

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ECBはより大幅かつ早期に利下げへ、1月の政策決定後の市場予想

by Bloomberg

トレーダーの間では欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁がインフレよりもユーロ圏が直面する経済的課題により重点を置いたとして、より大幅な利下げ観測が強まっている。

  ECBの政策決定会合に連動するスワップ取引では、6月までに0.5ポイント以上の利下げが織り込まれている。ECBの政策決定発表前の時点では0.42ポイントの緩和が見込まれていた。早ければ4月に0.25ポイントの利下げが実施される確率は90%織り込まれており、政策発表前の約60%から上昇した。

ECBは25日、中銀預金金利を市場予想通り4%に据え置き、インフレ率が鈍化し続けていることを認めた。ラガルド総裁はその後、夏以降に利下げがあり得るとの自身の発言を再確認した。

  プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフグローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏は、「ECBがデータに依拠しているのは明らかだが、ECB当局者が注目するデータは今後数カ月以内、4月にも利下げがあることを示唆している。今年の夏は早くやって来るかもしれない」と指摘した。

ラガルド総裁は2023年10-12月(第4四半期)にユーロ圏経済が停滞した可能性が高いと述べ、民間セクターの活動の弱さなど最近のデータは、成長を圧迫している強い逆風を浮き彫りにしたと指摘した。ECBの予測では、今年の失業率は上昇し、賃金上昇率は23年の5.3%から26年には3.3%へと徐々に鈍化する見通し。

  ラガルド総裁は25日にフランクフルトで記者団に対し、利下げ開始時期は夏の「可能性が高い」とした先週のスイス・ダボスでの見解を堅持すると述べた。ECB当局者の多くも同様の見解を示しており、労働市場の動向を見極めるには1-3月(第1四半期)に行われる賃金交渉の行方を注視する必要があると指摘している。

トロント・ドミニオン銀行の欧州金利ストラテジスト、プージャ・クムラ氏は、ECB総裁の見解はダボスでの発言よりハト派的だったと述べ、「声明文でも記者会見でも、域内のインフレのトレンドにおける進展を認める部分が目立った」と分析した。

  ドイツ国債はラガルド総裁発言を受けて上昇。金融政策に最も敏感な2年債利回りは一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し2.61%を付けた。市場が織り込む今年の利下げ幅は従来の約130bpから約143bpに拡大。5回の0.25ポイント利下げを完全に織り込み、6回目の利下げの可能性もほぼ70%見込んだことになる。

この記事の考察

やはり、アメリカのよりもEUのほうが先に利下げに動くようだ。つまり、EUのほうが景気が悪いということだ。

利下げの判断を誤れば再び高インフレに見舞われる。

ECBの予測では、今年の失業率は上昇し、賃金上昇率は23年の5.3%から26年には3.3%へと徐々に鈍化する見通し。

この部分が重要だ。賃金上昇率が鈍化するだけで、上昇することには変わりない。
給与の上昇率はインフレ率を計算する上で一番大きなウエイトをおいている。

ECB、中銀預金金利を4%で据え置き-十分に長く維持すると示唆

欧州中央銀行(ECB)は25日、3会合連続で政策金利を据え置き、利下げはまだ先になることを示唆する文言を維持した。

  中銀預金金利は過去最高の4%で据え置かれた。ブルームバーグの調査に答えたエコノミスト全員の予想通りだった。ECBは、金利をこの水準で十分に長く維持することが、消費者物価上昇の抑制に「大きく貢献する」と繰り返した。

政策委員会は声明で「入ってきた情報は、中期的なインフレ見通しに関する前回の評価をほぼ裏付けている」とし、「引き締まった資金調達環境が需要を減退させており、これがインフレ率の押し下げに寄与している」と説明した。

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