米当局、ヘッジファンドのレバレッジ取引を懸念-銀行通じた規制検討
by Bloomberg
米国の規制当局は、高レバレッジのヘッジファンド取引がもたらす危険性に着目し、より広範な金融システムへのリスクを抑制するための選択肢を検討している。
規制当局が特に懸念しているのは、米国債先物と現物債の価格差から利益を得るためにレバレッジを利用するベーシス取引と呼ばれる戦略の拡大だ。米国債を担保にしたレポ市場での借り入れは近年急増し、3兆ドル(約450兆円)近くに達している。ベーシス取引はレポ市場で借り入れた資金で、先物をショート、現物をロングにすることで利益を狙う。
ヘッジファンドは規制当局から直接監督を受けることは少ないが、多くの取引のための資金調達を規制の厳しい大手銀行に依存している。このため、幾つかの米規制当局はヘッジファンドの活動を制限することができる。
この問題に詳しい関係者によると、初期段階の計画では銀行にエクスポージャーに関するデータをもっと集めるよう求めることや、一部の有担保借り入れでヘアカットを強化するよう求めることなど、さまざまな選択肢が検討されているという。
米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長は18日、プライムブローカーが一部のヘッジファンドに「非常に寛大な基準」で提供している資金が、金融システムにおける最大のリスク源であると警鐘を鳴らした。「もし問題が起きれば、この市場で困難に直面するリスクを負うのは一般大衆になる」とインタビューで語った。
ゲンスラー氏を含む政府当局者は数カ月前からヘッジファンドの取引には目に見えない部分が多いことを指摘してきた。
債券取引を管轄し、投資会社を監督するSECは、可視性を強化するためのルール変更を求めている。イエレン米財務長官が議長を務める金融安定監視評議会 (FSOC)はヘッジファンド作業部会を設置した。米連邦預金保険公社(FDIC)のグルーエンバーグ総裁は先月、ヘッジファンドの取引について、高水準のレバレッジが特に懸念されると指摘した。
財務省とFDIC、米連邦準備制度理事会(FRB)の担当者はコメントを控えた。
関係者の1人によれば、米当局者らはレポ借り入れの担保のヘアカットを2%とすることを最近議論した。非公表の情報だとして同関係者は匿名で語った。
この記事の考察
この記事で真っ先に思い浮かぶのは
10月13日の記事 野村、アルケゴスと「蜜月」裏目か-プライム部門の30億ドル損失
です。
ウォール街を震撼させた2021年の米資産運用会社アルケゴス・キャピタル・マネジメント破綻の少し前、ビル・フアン創業者は同社の成功に不可欠な存在だった金融機関にメールを送っていた。
ヘッジファンドは勝てば官軍負ければ賊軍ですが、プロという肩書きだけで銀行や証券会社から資金を集めている。
私にはただの度胸のよいギャンブラーにしか見えない。
イエレン米財務長官はこの先に起こるであろう金融破綻を恐れているように見える。
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