2024 2月28日 経済NEWS

投資

アップル、EV開発計画を白紙に-10年がかりのプロジェクト断念

by Bloomberg

アップルは電気自動車(EV)を開発するという10年がかりの取り組みを中止する。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同社史上最も野心的なプロジェクトの1つを断念することになる。

  アップルは27日、社内でこの情報を共有し、同プロジェクトに携わる約2000人の従業員に驚きをもって迎えられたという。非公開情報であることを理由に匿名で語った関係者によると、今回の決定はジェフ・ウィリアムズ最高執行責任者(COO)と自動車プロジェクトを統括するバイスプレジデントのケビン・リンチ氏から従業員に伝えられた。

2人は従業員に対し、同プロジェクトは終了に向かい、携わっていたスタッフの多くはジョン・ジャンナンドレア氏が率いる人工知能(AI)部門に移ると説明した。これら従業員は、同社にとって重要性がますます高まっている生成AIのプロジェクトに集中することになる。

EV開発チーム内の数百人のハードウエアエンジニアや設計担当者は社内の別のチームに応募できる見込み。レイオフも行われるが対象人数は不明。

  アップルの担当者はコメントを差し控えた。

  このニュースは一部投資家に安心感をもたらした。株価は反発し、0.8%高で取引を終えた。

テスラを率いるイーロン・マスク氏もアップルの決定を称賛。X(旧ツイッター)に敬礼の絵文字入りの投稿を行った。

   数十億ドルを投じてきたプロジェクトの終了は衝撃のニュースとなった。アップルは2014年ごろに乗用車開発に着手。リムジンのような内装と音声ナビゲーションを備えた完全自律走行車を目指していた。

プロジェクト苦戦

  しかしプロジェクトはほぼ最初から苦戦を強いられ、アップルはチームのリーダーや戦略を幾度も変更。現在フォード・モーターの上級幹部であるダグ・フィールド氏が去った後、リンチ、ウィリアムズ両氏が数年前、このプロジェクトを引き継いだ。

  関係者らによると、アップルの最高幹部はここ数週間でこの決定を下した。ブルームバーグはその約1カ月前にこのプロジェクトが成否を分ける地点に達したと報じた。アップル社内では発売時期を28年に延期し、自動運転技術を従来計画の「レベル4」から「レベル2+(プラス)」に引き下げる計画が議論されていた。

直近では価格を10万ドル(約1510万円)程度に想定していた。しかし幹部らはこのEVが他の自社製品と同程度の利幅を確保できるかどうか懸念し、同社取締役会も、日の目を見ないかもしれないプロジェクトに巨額の投資を続けることを憂慮していた。

  アップルはまた、EV販売の陰りにも直面。高価格と充電インフラ不足により主流購買層の完全EVへの切り替えは進まず、ここ数カ月は販売の伸びが失速している。

  ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターはEV需要の低迷と製造の障害を受け、ハイブリッド車増産へと軸足を移しつつある。そして自動車メーカー各社はバッテリー式EV(BEV)の値下げや生産台数目標の引き下げ、利益予想の下方修正を余儀なくされている。

米国におけるEV革命の草分けであるテスラでさえも、今年の販売台数の伸びは「著しく」鈍化するとの見通しを示している。UBSグループによると、今年の米国内EV販売台数の伸び率は11%と、昨年の47%(推定値)を大幅に下回る見通しだ。

アップルのEV開発計画中止、テスラやビッグスリーに安堵感与える

アップルの電気自動車(EV)開発計画が突然中止されたことは、自動車市場にとって暗い兆しだ。自動車メーカー自体には歓迎すべきことでもある。

  米テスラとミシガン州デトロイトに拠点を置く3大自動車メーカー(ビッグスリー)などは、エレクトロニクス製品の巨人であるアップルが開発計画を白紙にしたことで、成長が鈍化しているEV市場における脅威が消えることから安堵(あんど)のため息をつけそうだ。また、職を失うかもしれないエンジニアなどの人材も業界に供給される。

  この1年、イーロン・マスク氏率いるテスラは価格を引き下げ、需要不振に警鐘を鳴らしてきた。ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターなどの自動車メーカーは投資を先送りし、生産計画を撤回している。610億ドル(約9兆2000億円)に上る手元資金を持つアップルの計画中止により、自動車メーカーには気をもむ競争相手が1社減ることになる。

ガートナーのアナリスト、マイク・ラムジー氏は、自動車メーカーは「恐らくほっとしただろう。アップルによる市場参入は早くから警戒されていた」と指摘した。 

 アップルがEV計画を本格的に加速させる前に撤退したことは、このビジネスの厳しさを浮き彫りにしている。大方の消費者にとってEVはまだ高価で、米国内の充電施設はまだ不十分だ。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の予測によると、EV販売台数は過去3年間に年率65%の成長を遂げたが、今年は9%の伸びにとどまる見通し。

  これは各社が米国市場で新規購入者の約10%を奪い合うことを意味する。

  テスラは、アップルの方針転換から最も恩恵を受ける可能性がある。ラムジー氏によれば、マスク氏が製品価格を25%以上引き下げた1年後に最も避けたかったのは、自社と同様にハイテクの魅力を持つシリコンバレーのライバルが登場することだった。

ラムジー氏は「テスラはステータスカーとして大きな利益を得ているが、アップルのEVが登場すれば間違いなくステータスとなるだけに、テスラが最も不利だったのは間違いない」と述べた。

  アップルの計画中止を受け、マスク氏は27日にX(旧ツイッター)に敬礼する絵文字の入った投稿を行った。

この記事の考察

このニュースはにわかには信じがたい。アップルカーは次のAAPLの主役になると思っていた。
自動運転技術、「レベル4」はそれほどにむつかしいということだ。

6Gが実領域になるのはまだ先のことのようだ。全個体電池よりも自動運転の技術の方が開発費がかさむということだ。

となると、注目されるのはビッグ3ではなくテスラでもなく、トヨタということになるだろう。

そもそも、トヨタのハイブリッド技術に欧米が追随出来ないためにEV車ということになった。

しかし、電欠(バッテリ-上がり)が顕著になりハイブリッド車が見直された。

バイデン大統領をはじめ、欧米でカーボンニュートラルというフレーズをきっかけに将来のガソリン車販売を禁止にした。

もしトラが現実になればガソリン車はもっと脚光を浴びるだろう。そして、燃費の良いプラグインハイブリッド車が人気になる。

但し、ここでAAPLが入ってくる可能性はある。EVと自動運転技術は別のことである。

プラグインハイブリッド+自動運転=アップルカーではいけないのだろうか?

私はトヨタとアップルが組む可能性はあると思う。


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