2024 2月15日 経済NEWS

投資

実質GDP2期連続マイナス、消費低迷-日銀正常化観測に冷や水

by Bloomberg

日本経済は昨年10-12月に2四半期連続のマイナス成長となった。輸出を中心に外需は伸びたものの、物価高の影響による個人消費の低迷が重しとなった。景気の脆弱(ぜいじゃく)さを示しており、金融政策正常化のタイミングを探る日本銀行は慎重な判断を迫られる可能性がある。

  内閣府が15日発表した実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率0.4%減となった。市場予想は1.1%増だった。前期比では0.1%減。個人消費は0.2%減、設備投資は0.1%減と、いずれも3期連続のマイナス。輸出は2.6%増で、輸出から輸入を差し引いた外需寄与度はプラス0.2%と2期ぶりにプラスに転じた。

物価高はGDPの半分以上を占める個人消費に対する下押し圧力となっている。日銀は1月の物価・経済情勢の展望(展望リポート)で景気は緩やかに回復しているとし、今後も緩やかな回復を続けるとした。今回の結果は市場の早期正常化観測に冷や水を浴びせる格好となった。 

  農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、「物価の高止まりにより消費者の購買力が目減りし、消費が弱い状況。軽いスタグフレーションになっている。そういう中で正常化に向かって動くのは難しい」と指摘。その上で、3月会合での決定は困難との見方を示す一方、「日銀が動くという空気はあるので4月に動く線は残る」としている。

1月会合後の植田和男総裁の記者会見や、同会合の「主な意見」では政策正常化に前向きな発言が相次いでいた。さらに、内田真一副総裁が今月8日の講演でマイナス金利解除後の政策運営スタンスにも踏み込み、市場では3月か4月の会合で正常化に動くとの見方が強まっていた。  

  新藤義孝経済財政担当相はGDP発表後の談話で、「賃金上昇が物価上昇に追いついていない中、個人消費は力強さを欠いて」おり、設備投資も堅調な投資計画が「実現することに時間がかかっている」と指摘。その上で、政府は「民需の力強い回復に向け、総合経済対策などを速やかに実行する」とした。

  10ー12月期は内需が低迷。個人消費は暖冬の影響もあり衣料が減少し、外食も低調だった。公共投資は2期連続のマイナスだった。輸出は3期連続の増加。知的財産権の使用料などサービス輸出が伸びたほか、インバウンド(外国人訪日客)消費も好調だった。一方、自動車は減少した。

クレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストらはリポートで、知的財産権使用料の大規模な受け取りという特殊要因を除けば2期連続の大幅なマイナス成長だとし、「日本経済は景気後退の淵に追い込まれていたことになる」と指摘。内需拡大が物価を押し上げ、さらなる賃金上昇と内需拡大につながり、「物価上昇率が2%の目標で持続的・安定的になることが見通せる状況でもない」とみている。

世界4位に転落

  2023年暦年の名目GDPは前年比5.7%増と1991年以来の高い伸び率となった。ただ、金額ベースでは591兆円、ドル換算で4兆2106億ドルとドイツの4兆4561億ドルを下回り、世界3位から4位に転落した。

  大和総研の神田慶司シニアエコノミストは、「ここ数年の大幅な円安が影響して順位が変わったということであり、それ自体に一喜一憂する必要はない」と指摘。もっとも、日本は人口減少とデフレで設備投資や個人消費が振るわなかったとし、「数十年の経済停滞が結果として順位の変化の一要因」になっているとの見方を示した。

この記事の考察

実質国内総生産(GDP)が2四半期連続のマイナス成長ということは端的に言えばテクニカルリセッション、つまり景気後退である。

電気代や食品、ガソリン代など様々な生活必需品の値上げラッシュで一般庶民の消費は更に落ち込んでいる。
普通に消費していれば値上の分だけ消費額は上がるはずである。
しかし、消費額がマイナスということは人々が消費に使ったお金が前期よりも少なかったことを意味している。

つまり、財布のひもが更に固くなってしまった。人々は将来に備えてお金を使わなくなっている。

普通に考えるとインフレの時は物の価格が上がるのだから、今の価格で買っておこうとなるはずだ。
しかし、それが出来ないということは将来の収入に不安があるので必要最低限の物しか買わないということである。

記事の中の「日本経済は景気後退の淵に追い込まれていたことになる」と指摘。内需拡大が物価を押し上げ、さらなる賃金上昇と内需拡大につながり、「物価上昇率が2%の目標で持続的・安定的になることが見通せる状況でもない」とみている。

という部分が大事で政府や経団連、日銀など上級国民と我々一般庶民の景気に対する感じ方の差が大きい。
これがGDP2期連続のマイナスという結果になって現れた。

賃金上昇ができるのは大企業と公務員だけである。
この余波を食らうことになる零細企業は賃上げどころか現状維持も苦しくなっている。

こんな状況で日銀が利上げに踏み切れば企業倒産は更に増え、住宅ローン、車のローンを払えない人達が続出し。更に景気後退を進めることになる。

貧富の格差が更に広がっていくことになる。

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