2024 2月2日 経済NEWS2

投資

信用市場に動揺走る、銀行が引当金積み増し-不動産市場ストレス顕著

by Bloomberg

不動産市場のストレスが銀行による不良債権引当金の積み増しを促し、世界のクレジットスプレッドが過去4カ月で最大の週間上昇に向かっている。

  ブルームバーグの指数によると、世界の社債スプレッドは1月26日から8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大し、10月前半以来の週間拡大幅となった。投資適格級の金融債のスプレッドは7bp拡大。

  アジアの金融機関が発行する社債のスプレッドは2日、平均で約1bp拡大している。

銀行の不動産エクスポージャーに起因する悪いニュースが後を絶たない。米地方銀行のニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)の株価は、貸倒引当金積み増しを受けて過去2日で50%近く下落した。ドイツ銀行は米不動産関連の損失引当金を4倍以上に増やした。

 ロトフィ・カルイ氏(ニューヨーク在勤)を含むゴールドマン・サックス・グループのアナリストは「昨年10月後半以降で初めて、市場心理が著しくネガティブに転じた」とリポートで指摘。米国の地方銀行の弱点がリスクオフのムードに拍車をかけているため、投資家は「クレジットポートフォリオにヘッジを追加」すべきだと論じた。

  金利上昇が米国やその他の地域の商業用不動産の価値を押し下げ、デベロッパーの借り換えを困難にすることで、銀行が痛手を被る可能性についての懸念が高まっている。

  あおぞら銀行の株価は2日下げ幅を広げ、東京市場で一時19%安となった。ブルームバーグがまとめたデータによると、2026年に満期を迎えるあおぞら銀行のドル建て債のスプレッドは過去2日間で2倍以上に拡大した。

米NYCB株急落は銀行への警鐘、商業用不動産のリスク再認識

米国の商業用不動産市場は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来、混乱が続いているが、銀行持ち株会社ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)の減配と引当金積み増しの決定は、金融機関の一部が痛手に気付き始めたばかりであることを思い起こさせた。

  NYCBの株価は今回の決定を受けて38%安で終了し、上場来最大の下げを記録した。KBW地方銀行株指数は、昨年3月にシリコンバレー銀行(SVB)に取り付け騒動が起きて以来の大幅な下落となった。あおぞら銀行も米国オフィス向けの不動産融資で損失に備える追加の引当金を計上すると発表し、アジア時間に株式市場の重しとなっている。

  こうした不安は不動産価値の持続的下落を映しているが、具体的にどのローンが破綻するのか予測するのは難しい。このような状況をもたらしたのは、パンデミックによるリモートワークへのシフトと金利の急上昇で、経営難の借り手の借り換えコストを高めている。富豪で投資家のバリー・スターンリヒト氏は今週、オフィス不動産市場の損失は1兆ドル(約147兆円)を超えると警鐘を鳴らした。

  金融機関にとってこれは、一部の地主がローン支払いに苦戦したり、単にビルから立ち去ったりすることでデフォルト(債務不履行)が増加する見通しを意味する。

ドイツ銀、米商業用不動産に絡む引当金が4倍以上に-借り換えリスク

ドイツ銀行は2023年10-12月(第4四半期)に、米商業用不動産関連の損失に備える引当金が前年同期の4倍以上に膨らんだ。苦境にある同セクターに借り換えが大きなリスクをもたらすと警告した。

  1日の決算発表と同時に公表された投資家向けプレゼンテーションによると、引当金は1億2300万ユーロ(約195億円)と、前年同期の2600万ユーロから増加。前期比ではほぼ2倍になった。

  不動産へのエクスポージャーが引当金総額を4億8800万ユーロに押し上げ、四半期ベースで新型コロナウイルス流行で不良債権への懸念が高まった20年4-6月(第2四半期)以来の高水準となった。

この記事の考察

世界の名だたる銀行が貸し倒れの引当金を増額している。去年のSVB破綻に始まった銀行の破綻劇は終わっていない。

こういゆ銀行が貸し倒れ引当金を増やすということはアメリカのオフィスなどの家賃が高騰していることに由来する。
高インフレの闇がここでも浮き彫りになった。

中国の不動産バブル崩壊がアメリカの銀行の金融派生商品に入っていなければ良いのだが。

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