2024 3月29日 経済 NEWS

今の円安の動きは「反対方向という意味で強い違和感」-神田財務官

神田真人財務官は、日本銀行がマイナス金利解除を含む大規模金融緩和の見直しを決定した後の円安の動きは「反対方向という意味で強い違和感を持っている」と語った。

  神田財務官は29日のインタビューで、「米国のインフレは沈静化し、日本はようやくマイナス金利を脱却できるくらいデフレのノルム(社会規範)が変わってきている」中で、日米の金利差は縮小傾向にあると強調。足元の急速な円安は「日米のインフレ率の動向や見通し、金融政策、金利の方向性といったファンダメンタルズに照らすと強い違和感を覚えざるを得ない」と述べた。

その上で、「為替市場の動向を高い緊張感を持って注視し、行き過ぎた行動に対してあらゆる手段を排除せず適切な対応を取る」との考えを改めて強調した。

  円が1ドル=152円に迫る約34年ぶりの安値を付けた27日、財務省と金融庁、日銀は3者会合を開催。会合後に神田氏は、最近の円安は「ファンダメンタルズに沿ったものとは到底言えず、背景に投機的な動きがあることは明らか」とけん制を強めた。足元でも151円台前半で推移する中、市場では介入に対する警戒感から当局者の発言への注目度が増している。 

  151円台に入ってから発信の機会が増えたことに関しては、「政府として水準に関心はなく、方向と速さだ」とし、特定の水準を念頭に置いている訳ではないと説明した。鈴木俊一財務相も29日の会見で152円が防衛ラインとの見方を否定した。警戒レベルに応じた言葉の選択について神田氏は、「その時々で正しいと思うことを申し述べている」とした。

  政府は2022年9月、円が145円台に下落した局面で約24年ぶりに円買い介入を行った。152円に迫った翌10月には2度実施し、合計額は9兆円に上った。昨年11月に再び151円台後半まで円安が進んだ際、神田氏は介入について「スタンバイしている」と市場をけん制。その後、円は151円91銭と22年安値に迫ったが、米国の利下げ観測の台頭もあって円は年末に140円台前半に上昇していた。 

為替を巡る政府・日銀の連携については、「日銀は為替を政策のターゲットとするわけではないが、物価と密接な関係があるという意味で関心事」とし、政府としては「常日頃から日銀を含む各国金融当局の間で緊密に意思疎通を図っている」と語った。

利上げを「素直に評価」

  日銀は19日の金融政策決定会合で、マイナス金利を解除するとともに、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の廃止や上場投資信託(ETF)の新規購入の停止も決定した。13年4月以来の大規模な金融緩和政策からの正常化に向けてかじを切った一方で、植田和男総裁は「当面緩和的な金融環境が継続する」との考えを示した。

  17年ぶりの利上げに関して神田氏は、「異次元の金融緩和策を日銀が終了できる段階まで日本経済に根強く残ってきたノルムが正常化しつつあるということは、素直に評価すべきだ」と述べた。

異次元緩和は「デフレではない状況を作り、雇用を拡大し、企業収益の増加につながったという意味で経済成長に大きな役割を果たした」と評価。一方、「ゾンビ企業の延命によって生産性が低迷したことに加え、金融市場の機能不全を引き起こし、政府の財政規律の弛緩(しかん)といったモラルハザードにつながったという指摘も強く認識している」と語った。

  通貨も含めた日本経済の国際競争力強化に向けては、「中長期的には海外との貿易取引やサービス取引での稼ぐ力を強化することや、魅力的な投資先として海外からの資金を呼び込むことが重要」との認識を示した。神田氏は26日、国際収支の観点から日本経済の課題と処方箋を議論する懇談会を立ち上げた。

この記事の考察

財務省の超エリート官僚でもこの円安トレンドが読めなかった。本心は分からないが、インタビューなどでの外向けにはこう発言している。

日銀がYCCを撤廃し、0金利政策を解除した時は市場は円高方向に動くと予想されていた。2024年にアメリカの利下げあると予想されていたため、確実に円高方向に振れると思われていた。

しかし、実際には151円を突破し。152円を試している。口先介入は最近は毎日のようにやっている。

市場VS日銀というところだ。

日本は円安とコモディティ価格の上昇でダブルのインフレ、コストプッシュ型のインフレに見舞われている。
大企業や電力会社はそのコストを販売価格に転嫁することができる。売上金額、純利益共に史上最高値を更新している。給与にも転嫁できる。


しかし、零細企業、個人事業は瀕死の状態である。電気料金、燃料代、輸送費など売上金額が増える前にコストが上昇している。
給与など上げられるはずがない。

ここで日銀が利上げに動けば少しは円高方向に振れるかもしれない。しかし、コロナショックの借り入れからまだ立ち直っていない零細企業は廃業、倒産に追い込まれる。

GREAT RESET

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