円は対ドル144円付近、日銀政策修正観測で一時1%超上昇-荒い動き
by Bloomberg
8日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=144円付近。日本銀行による早期政策変更観測を背景に前日の急騰に続き、一時1%超上昇し142円台を付けた。その後は海外時間に米雇用統計を控えて売り戻されるなど荒い値動きが続いた。
ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは、日銀の政策変更の可能性を見込んだ円売りポジションの解消が進んでいるとし、「たまっているキャリーポジションの在庫整理となっているが、まだ根っこは残っている」と指摘。金融政策見通しに変化がある中で、国内の輸出企業が「ヘッジ比率を引き上げ、ドルを売って円を買うという判断になっている可能性もある」と述べた。
一方、ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、日銀の政策修正期待は行き過ぎで為替の反応には過剰感があると分析。日米金利差からみた適正水準の146円台より円高方向に振れており、「米雇用統計がそこそこ強い結果になると行き過ぎた部分のドル買い戻しが入ってもおかしくない」と予想した。
7日の円相場は日銀の植田和男総裁と氷見野良三副総裁の発言を受けて早期のマイナス金利解除観測が高まり、買い戻しが加速。一時前日比で3.8%の円高・ドル安と昨年12月20日以来の上昇率を記録し、5月以来初めて200日移動平均線を超える場面も見られた。
ドイツ証の小川氏は、12月の日銀決定会合に向けて円高圧力が続きやすいと予想。「押し目でドルを買う動きはあるが、落ち着きどころは分からない。昨日の動きだけで全てが終わったわけではなく、ドルを多く保有する向きの売りなどをこなしながら、第2波の動きはまだあるだろう」と述べた。
植田発言受けた日銀の早期修正を織り込む市場は行き過ぎ-早川元理事
元日本銀行理事の早川英男氏(東京財団政策研究所主席研究員)は、植田和男日銀総裁の発言を受けた早期の金融政策の正常化を急速に織り込む市場の動きは行き過ぎだとし、今月の金融政策決定会合で金融政策について新たな決定は行われないとの見方を示した。
早川氏は8日のインタビューで、植田総裁の下での日銀は、金融政策対応が遅れるビハインド・ザ・カーブに近い政策運営を意図的に行っているとし、鍵を握る来年の賃上げの確証が得られない段階で「少しくらい早めに動いても意味がない」と指摘。マイナス金利の解除は、来年の賃上げの状況がほぼ明らかになる4月会合と予想した。
ブルームバーグが実施した最新の調査では、7割近くが来年4月までに現在マイナス0.1%の短期政策金利を引き上げると予想。来年の賃上げは、30年ぶりの高水準となった今年よりも高くなると半数以上が回答した。早川氏の発言は、マイナス金利の解除は来年3月の春闘の結果を受けた4月になるという見方を後押しする内容となった。
日銀マイナス金利の早期解除観測強まる、来年4月まで7割-調査
植田総裁が7日の参院財政金融委員会で、金融政策運営に関して「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言。市場は正常化に向けたサインと受け止め、外国為替市場で円相場は一時、8月7日以来となる1ドル=141円71銭に急伸し、新発10年債利回りは一時、今年最大の上昇幅を記録した。
金融政策運営、年末から来年かけ一段とチャレンジングに-日銀総裁
早川氏は、植田発言について「心の中にマイナス金利から抜け出せるのではないかとの期待があると思うが、言う必要もなかった」とみている。植田総裁をよく知る早川氏は、総裁発言は地ならしを意図したものではないとし、「市場は騒ぎ過ぎだ」と語った。
この記事の考察
7月後半から10月にかけて急速に円安が進んでいた時、鈴木財務大臣があれ程、口先介入したのに
ドル円は動かなかった。
しかし、上田総裁の今回の発言でたった1日で一気に円高進行した。日経平均は2日間で1000円以上も下落した。
日本の長期金利が1%を超えてくると国債に利子を払っていけるのだろうか?
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