熱い日本株市場、HSBCとソシエテは警戒-圧倒的な強気優勢に逆行
アジアで最も人気のある日本市場だが、警戒する投資家もいる。
日本株の人気はアジアで圧倒的だ。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の今月の調査によると、アジアのファンドマネジャーの59%が日本株をオーバーウエートとしており、2位のインド株の18%に大差を付けた。
日本株への楽観の根底にあるのは日経平均とTOPIXが34年ぶり高値に達した事実と、円安およびインフレ復活だ。
この人気ぶりはHSBCホールディングスとソシエテ・ジェネラルのストラテジストらに、上昇は行き過ぎで投資家は利益を確定し始めるべきだと確信させた。
円のボラティリティーも、もう一つの懸念材料だ。円安はマイナス金利が背景だったが、日本銀行が今年、ついにマイナス金利政策を解除するとの観測が高まるにつれて、円は乱高下した。
HSBCのアジア株戦略責任者、ヘラルド・ファンデルリンデ氏は「この市場について私は警戒する」と述べ、「誰もが上げを見込むポジションを持ち、誰もが買い進んでいる」が、良いニュースの多くは既に織り込み済みだとの見方を示した。同社は日本株の投資判断をアンダーウエートにしている。
一部のテクニカル指標はこの見方を支える。TOPIXの相対力指数(RSI)は最近、昨年5月以来の高水準に達し、過熱の兆候を示している。前回RSIが買われ過ぎの領域に入ったのは昨年9月で、当時はその後に約9%下落した。また、市場ウォッチャーの間には日本株への取引集中のリスクを指摘する声もある。
HSBCはTOPIXが2460で今年を終えると予想。その場合、現水準から1.3%の下落になる。ソシエテは日経平均が6月末までに3万2500円と、現在の水準から約8%下落するとみている。
M&Gインベストメンツのマルチアセット戦略担当投資ディレクター、マイケル・ダイアー氏(香港在勤)も「短期的には既に多くが織り込み済みだ」と指摘。「少しポジションを減らし、少し利益を確定した。日本株買いはますますコンセンサストレード(市場参加者全員の相場観が一致した取引)になりつつある」と話した。
ロベコ香港のポートフォリオマネジャー、ケルビン・レオン氏も同様の見方だ。「最近の上げはまだ相当モメンタム主導で、私に言わせればかなり過熱している。値上がり銘柄を観察すると、大型株、テクノロジー株、自動車株が中心だ。まだ非常に限られていると言える」と同氏は述べた。
日銀が利上げをするとすれば、その時には米連邦準備制度が逆の動きをしている可能性が高い。米国で利下げがあるなら、円に対してドルを弱くする。
ソシエテはこの見通しを踏まえ、昨年11月に日本株への配分をそれまでの15%から8%に引き下げた。円がドルに対していずれの方向にせよ過度に動けば「リスクリワードの魅力が少し減る」と、アジア株式戦略責任者のフランク・ベンジムラ氏(香港在勤)が述べた。
「米連邦準備制度の緩和と日銀の引き締めが予想される今の時点では、一定のリスクを認識する必要がある」と語った。
JPモルガン・プライベート・バンクも、円の上昇を自社の投資に対するリスクとして注意深く見守っている。
アジア投資戦略責任者のアレクサンダー・ウルフ氏は、「当社が考えていた日本株上昇要因の大きな部分は円安だった。全てではないが、主要なけん引役だ」と説明。その上で「円が対ドルで非常に安いことを考えると、大幅ではないにしても円は上昇すると予想している」と語った。
長期的には強気
それでも、圧倒的に優勢なのは一段高を見込む強気センチメントだ。日本証券業協会の森田敏夫会長によれば、日経平均は年内に4万2000-4万3000円まで上昇する可能性がある。日本の金融機関は、金利上昇局面での経験があるトレーダーに重点を置いて人員を採用している。
この記事の考察
2024年に入って急騰してきた日経平均だがここにきて加熱感で警戒のニュースだ。
根底にあるのは日銀の利上げだ。日本経済は2%の利上げどころか1%の利上げに耐えられるとは思えない。
経済が好調なのは大企業だけである。商品の値上げ、電気料金の値上げ等で潤っている。賃上げも可能だろう。しかし、中小企業、零細企業はこの影響を受けて更に経営は逼迫している。
なのに、利上げを行えば借金が更に払えなくなる。コロナショックから回復できていない企業はゼロゼロ融資の返済が始まっている。
ゼロゼロ融資と名前はついているが利息は発生している。これさえ払えないところがあるのに。ここからまた経費が増える。
そう考えればHSBC,ソシエテの判断が正しい。
コメント