25 JUN.2024 経済 NEWS

投資

170円も視野に、市場介入リスクにも動じない為替トレーダー

by Bloomberg

一段の円安を見込むトレーダーらは、日本の通貨当局が円買い介入に踏み切る可能性に動じておらず、円は1986年以来のドル高・円安水準まで下落するリスクがある。

  三井住友DSアセットマネジメントやみずほ銀行によると、より利回りの高いドルが選好され円売りが続く中、現在の水準から約10円の円安である1ドル=170円まで下げる可能性があるという。

  円は今年これまでにほぼ12%下落したが、トレーダーらは日本の通貨当局による円買い介入の可能性を含め、円安の勢いを反転させるのに十分に強力なきっかけとなり得る要因はほとんど見当たらないと指摘している。5月初め以降の相場の動きがそれを裏付けている。過去最大の約9兆8000億円の市場介入後も、円はほぼ元の水準に戻っている。

「ドル・円は比較的迅速に170円に到達する可能性がある」と、四半世紀にわたって円を取引してきたATFXグローバル・マーケッツのチーフアナリスト、ニック・トウィデール氏は指摘。「短期的な介入は効果がない」と述べた。

Yen Last Traded at 170 in 1986

円に対する弱気な賭けの中心には日米の大幅な金利差がある。連邦準備制度はまだ利下げに踏み切っておらず、政策金利の誘導目標の上限は5.5%だが、日銀の政策金利はほぼゼロだ。欧州金利との比較でも同様で、円は対ユーロで最安値に向かっている。

  これにより、世界で3番目に取引量の多い通貨である円は、より利回りの高いドルやユーロ、新興国通貨に対して売られる主要なターゲットとなっている。

  神田真人財務官は24日、為替介入は「24時間いつでも準備できるようにしている」と述べ、市場をけん制した。

  ドル・円は東京時間25日午前、1ドル=159円50銭前後で取引されており、日本の通貨当局が最初の介入を行ったとされる4月29日に記録した160円17銭からそれほど離れていない。2回目の介入は5月1日に行われたとみられている。

ブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)」のマーク・クランフィールド・ストラテジストは、「米金融当局には利下げを急ぐつもりはなく、トレーダーは円反転の鍵は日本の通貨当局側にあるとみるが、当局者の口先介入は今のところトレーダーに方向転換を促すにはほとんど至っていない」と分析した。

  三井住友DSアセットマネジメントグローバル債券グループの国部真二リードファンドマネジャーは、通貨当局が円買い介入に踏み切れば円相場は一時的に150円を割れ込む可能性もあるが、「長期的にみれば170円を目指すことになるだろう」と予想する。

みずほ銀行の経済・戦略責任者ビシュヌ・バラサン氏(シンガポール在勤)は、1ドル=170円は「望ましいかと問われれば、答えはノーだ。それは可能性として排除されるかと問われれば、残念だが排除されない」と述べた。

  資産運用マネジャーらも悲観的だ。24日に公表された米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、6月18日終了週に円売りポジションは積み増され、2006年までさかのぼるデータに基づくと、最も弱気なポジション状態となっている。

全ての専門家が円相場に対して否定的な見方をしているわけではない。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のシニア・ジャパン・エコノミスト、木村太郎氏は、「利回り格差がより有利に転じることで、向こう数カ月間の円相場は下落よりも上昇する可能性の方が高い」と指摘した。年内に日銀が2回の利上げを行い、連邦準備制度が2回の利下げを実施するとしたBEの予測を前提としている。

  投資家は、日本の通貨当局が再び市場介入に乗り出すことで市場のボラティリティーが一層高まることに備えている。

  T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、「1日に1円以上の円安進行が数日間続くことが介入実施の目安になる」との見方を示した。

ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のアジア外為戦略責任者アルビン・タン氏(シンガポール在勤)によると、当局による前回の介入以降、ドル・円相場が着実に上昇圧力にさらされているため、市場は介入を「それほど恐れていない」ように見える。

  「日本の通貨当局にとってドル・円相場の明確なレッドラインが存在するのかどうかはなお疑わしく、160円を超える新たな高値更新が待ち受けている」とタン氏は指摘した。ブルームバーグがまとめたデータによると、1-3月(第1四半期)のドル・円相場予測のランキングで同氏はトップだった。

この記事の考察

ドル円160円で為替介入があるのだろうか?
短期的なトレーダーはこの点に注目している。

前の記事でも書いたが、アメリ政府、米財務省によってけん制されている。
日本が為替介入できるかできないかに市場の注目が集まっている。

その分岐点が160円である。
最初の介入を行ったとされる4月29日に記録した160円17銭があるからだ。

ということは、ここをすんなりと突破すれば一気に170円を目指す事になる。

日本政府はアメリカに逆らう事は出来ない。バイデン大統領、FRBパウエル議長の顔色を見ながら
又は、為替介入してもいいですかと、たずねながらやる事になるだろう。

現在、アメリカの借金は35兆ドルに迫っている。

全ては誰かの利益のために

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