2024 2月20日 経済NEWS

投資

企業の収益性が改善、徐々に戻る価格決定力-日本株最高値へ押し上げ

by Bloomberg

日本企業の収益性が改善している。ほぼ出そろった2023年10-12月期決算からは、原材料高が一服する中で遅れて実施した価格転嫁の効果が表れ、利益を確保している企業の姿が浮き彫りになった。

  JPモルガン証券の西原里江チーフ日本株ストラテジストらが9日時点で発表を終えた東証プライム企業の7割の10-12月期決算(除く電力・ガス)を集計したところ、営業利益率は10%と前年同期の8.4%や市場予想の7.9%を上回った。収益性の改善により、ブルームバーグがまとめたデータによると、東証株価指数(TOPIX)500採用企業の純利益は前年同期比46%増の13兆9000億円と過去最高を記録した。

良好な決算は、物価高の影響で個人消費が低迷し、実質国内総生産(GDP)が前期比年率で0.4%減と予想外に2期連続のマイナス成長に陥った中で実現した。経済がインフレという新しいフェーズに移行しつつあり、企業が利益を伸ばせる環境にあることは、日経平均株価の史上最高値更新が秒読みとなった日本株相場に追い風だ。

  T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは「弱めのGDPでも企業収益はついてきている」と指摘。「ここからGDPが改善に向かえば企業収益が大きく出てもおかしくない」と述べ、経済が良くなれば利ざやを確保しやすいとの見解を示した。

  収益性向上に寄与しているのが価格改定の効果だ。企業の仕入れコストに近い生産者物価指数(PPI)の上昇率は低下傾向にあり、コスト負担への懸念は和らぎ始めた。一方、消費者物価指数(CPI)は高止まりし、CPIの伸びは23年8月に2年半ぶりにPPIの伸びを上回り、その差は拡大傾向にある。企業は原材料高が収まる中でも価格決定力を維持して利ざやを確保している。

収益性が向上し、利益を伸ばしているのは主にインバウンド関連や食品企業。東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの営業利益率は35.5%と、少なくとも05年以来の高水準になった。「じゃがりこ」などスナック菓子を値上げしたカルビーの営業利益は市場予想以上に伸びた。JR東日本JR東海といった鉄道会社は通期営業利益予想を引き上げた。

  コスト高を販売価格に転嫁する動きは食品以外にも広がりつつある。野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、企業間取引が多い鉄鋼や自動車などでも値上げや利ざやの拡大が確認できたと指摘、株式を買う「安心材料になっている」と述べた。トヨタ自動車の営業利益率は14%で、少なくとも01年以降で最高になった。

  ただ、全ての企業が利益確保に成功しているわけではない。電機セクターを中心に弱い景況感が続いているところもあり、アルプスアルパインやイビデン、太陽誘電などは通期営業利益予想を下方修正し、市場予想を下回る見通しとなった。

この記事の考察

日本の大企業はインフレと政府による賃上げ圧力によって最高利益を更新し続けている。株価はそれを見越して上昇し史上最高値付近で推移している。

ここだけを見れば、日本経済は好調のようである。しかし、個人消費は2期連続のマイナスとなっており、更に来期もマイナスの予想である。


一般庶民はなるべくお金を使わなくなっている。これは将来の生活に不安があるからである。老後の生活や働けなくなった時のために人々はお金を使わなくなっている。
これはデフレ状態である。

電気料金の値上げなどインフラ関連の値上げラッシュを一般庶民は受け入れざるを得ない。その結果、大企業の収益は上がるがそれが賃金や末端の庶民の給与に反映されるまで経済は持つのであろうか?

失われた35年からはそう簡単に人々のマインドは変わらない。

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