アメリカ利下げの影響

投資

28 AUG.2024 経済 NEWS

米利下げなら1兆ドルの「雪崩」、中国企業がドル売り

by Bloomberg

米国が利下げに踏み切れば、中国企業が1兆ドル(約144兆円)相当のドル建て資産を売却し、人民元が最大10%上昇する可能性がある。ユリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者(CEO)が予想した。

  為替レートは現在、市場全体で適切に織り込まれていない最大のリスクであり、人民元はその中でも特に大きな影響を持つ可能性があるという。

  ジェン氏は「雪崩が起きると考えた方がいい」と人民元の本国還流の影響について語った。人民元は恐らく上昇し、中国政府は5-10%程度の上昇を許容するだろうと同氏はみている。

  ジェン氏によれば、中国企業は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来、オフショア投資で2兆ドル余りを蓄えており、それを人民元よりも高い金利の資産として保有している可能性がある。

米連邦準備制度が借り入れコストを引き下げれば、中国と米国の金利差が縮小してドル資産の魅力が低下し、「保守的」に見積もっても1兆ドル相当が中国に還流し得るという。

  「ドル・スマイル」理論で知られるジェン氏は、米インフレ鈍化が続けば連邦準備制度が市場の予想以上に積極的な利下げに踏み切ると予測。こうした予想が割高なドル相場と米国が抱える双子の赤字、ソフトランディング見通しと共に、ドル下落という同氏の確信を強めている。

結果的に、人民元は対ドルで上昇する公算が大きい。元は26日の本土市場では1ドル=7.12元前後での取引。7月には一時7.28元近くまで弱含んだ。

  中国人民銀行(中央銀行)がドル流動性を吸収するための介入をしなければ、人民元の上昇はさらに大きくなる可能性があると、ロンドンを拠点とするジェン氏は先週のインタビューで語った。

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が23日のジャクソンホール会合で、米国は政策金利を引き下げる時期に来ていると発言したことで、人民元上昇の可能性はさらに高まった。

  しかし、こうした動きが最初の米利下げ直後に起こる見込みは薄い。いわゆるソフトランディングシナリオの中でドルの下落が加速したとき、あるいはリセッション(景気後退)を引き起こすことなく米国のインフレが鈍化したときに起こるかもしれないと同氏は述べた。

パニックの波

  中銀証券の管涛エコノミストも同様の意見だ。管氏は、円のキャリートレードの崩壊と同様のシナリオが人民元で実現した場合、元が急騰するリスクがあると主張した。

  円キャリートレードの巻き戻しは、株式やクレジット、新興国通貨などあらゆるものに影響を及ぼす激震だった。人民元で資金を調達するキャリートレードが崩壊すれば、特にアジア市場全体に新たなパニックの波が押し寄せる可能性がある。

  それでも、人民銀は乱高下を抑えることができるだろうとジェン氏は言う。中国政府は、人民元の大幅な上昇は輸出競争力を低下させ、すでに低迷している景気回復を弱体化させる恐れがあるとして、常に慎重な姿勢を見せている。

元高が輸出企業に与える影響を見極めるため、中国国家外為管理局(SAFE)はすでに警戒を強めていると、事情に詳しい関係者は語っている。

  また、中国経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)がまちまちであることから、人民元を使ったキャリートレードは引き続き理にかなっていると主張するストラテジストもいる。

人民銀はまた、市場の期待を誘導する手段を多く保持しており、直近では、オンショア人民元の中心レートや、銀行が外貨準備として保有する必要のある外貨預金額の調整など、通貨の安定を促す手段を用いた。

  また、中国と米国の利回りの差は、ここ数年徐々に縮小しているが依然として大きいため、企業は保有する外貨をすぐに売却することはないだろう。

  中国の企業が持つドル資産の規模は、ジェン氏の予想よりやや低いとの見方もある。

  マッコーリー・グループは、中国の輸出企業や多国籍企業が2022年以降に5000億ドル以上のドルを保有していると推定している。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)は4300億ドルとしている。

  しかし、ジェン氏は「人民元への上昇圧力は生じるだろう」と述べ、「市場環境や政策の変化で簡単に動く資金が半分あると仮定すると、1兆ドル相当の資金が暴走に巻き込まれる可能性がある」と警鐘を鳴らした。

Fed Cuts May Send Trillion FX ‘Avalanche’ to China, Jen Says

この記事の考察

FRBが利下げを行えば、当然のことながらこういう流れが出てきます。

米ドルは円だけではなく、人民元対しても安くなってしまいます。

↑はFX,ドル円とドル人民元の為替レートの推移です。

日本円と人民元は米ドルに対して同じような動きをしています。

米ドル建ての資産に魅力がなくなれば売りに出されることになります。

しかし、Bloombergのニュース、中国企業が1兆ドル(約144兆円)相当のドル建て資産を売却
はちょっと行き過ぎだと思います。

今年、1%の利下げがあっても、アメリカのFFレートはまだ4%以上です。
短期の市場金利は3.3~3.8%で推移すると思います。

これならまだ、米ドルは魅力があると思います。
今のFFレート5.25%が最近の低金利時代で光って見えていたのです。

2008年のリーマンショックの時は中国経済が世界の工場となり世界経済を引っ張った経緯がありました。

今回は違います。
2023年から中国経済は崩壊しています。

なんでも過剰生産する中国は世界の市場から締め出される傾向にあります。

下にあるニュースが27日に発表されました。

カナダ、中国製EVと鉄鋼・アルミに新たな関税発表-米欧に追随

カナダ政府は26日、中国から輸入する電気自動車(EV)とアルミニウム、鉄鋼に新たな関税を課すと発表した。西側の同盟国に追随し、国内メーカーを保護する措置を講じる。

  政府はEVに100%、鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を賦課する方針で、ブルームバーグ・ニュースの先の報道を確認した。トルドー首相は、経済や外交政策に関して閣僚らと会合したノバスコシア州ハリファクスで政策を発表した。

EVに対する追加関税は10月1日に発効し、特定のハイブリッド乗用車とトラック、バス、配送バンも対象になる。中国製EVに現在適用されている6.1%の関税に上乗せされる。

  アルミニウムと鉄鋼への課税は10月15日に発効する。政府は26日に当初の追加関税対象品目リストを公表。一般に意見を募った上で10月1日に最終決定される。

中国はデフレを輸出してきました。

これに気付いたアメリカ、欧州、カナダは関税で対抗しています。

もはや、安ければ良い、という理論は通用しません。

日本も欧米、カナダに習ってそうするべきです。

中国企業も、日本企業も自国通貨が高くなれば輸出企業の業績が悪くなります。

代表的なのがBYDとトヨタ自動車です。

ただ、違うのは中国の企業の後ろには共産党があります。国策で資金が沢山入ってきます。

誰かが、またはある組織が意図的に経済を破壊しにいきます。

全ては誰かの利益のために

 NEW GREAT RESET

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